2章
番組休止について

 基本的には、放送局は、その編成局(部)で決められた基本タイムテーブルを放送することになります が、勿論、完全にこれにのっとってこの通り放送しないことが多くあります。それは簡単にいうと特別番組(以下、特番)を放送するときです。その基本通常番 組が、特番で休止されるのはどのようなときにおこるのでしょうか。

 1.番組改編時に放送する特番のため
  俗に「期首特番」とか呼ばれる特番です。
 前にもありましたが、番組改編は主に3月→4月になるとき、9月→10月になるときの、2回ですが、このそれぞれ、この月の変わり目を中心に2〜4週間 ほど、通常番組ではなく、その通常番組の拡大版をふくめ、特番が多く放送されます。特にここ10年でこの傾向がひどくなっているのですが、これはもとも と、−−他局の新番組(主にドラマ)の初回の裏に特番を持っていき、視聴者を特番の方に向かせれば、その裏のドラマの第1回の視聴率が落ちます。するとそ こでその新ドラマを見逃した人にとっては、2回目から見ても、1回目を見ていないので、話がよく分かりません。するとそういった人々ではそのドラマを見な い人が多くなり、結局違うチャンネルを見る、つまり特番を放送することによって敵を潰している・・・ということからはじまったようです。
 ただ、これは特番の視聴率が通常のときより高いということが保障されていないと、こういうことはできませんので、今はこの理由はそんなにも通じることは ないのでは、と思われます。なので今はこれは風習だと言ってもいいでしょう。
 しかし、明らかに通常番組で、低い視聴率を取っていたりすると話は別になってきます。

 視聴率が悪かったりする番組があると、打ち切られることが先にも述べたとおりよくありますが、もと もと視聴者になじみが全く住み着くことのなかったような長続きしない時間帯だったり、番組だったりすると、この打ち切られるのが4月・10月の頭より異様 に早く終了させられ、翌週からはまだ3(9)月のはじめだというのに期首特番が始まったりすることがあります。また、番組は存続していても変に2時間特番 が随時入ったりします。
 こういうような番組がしばらく続いた枠がいくつかあります。附属の番組表を見てもわかるようにしてありますが、例を言うとフジテレビ木曜日19時 (1996年から2000年ごろ)は「木スぺ120分」をのぞき、すべて2クール(半年)未満で打ち切られてきました。「ヒボカンパス」は96年4月18 日スタートで9月5日で完、つづいて「天下ごめんネ」が9回でタイトル変更し、次のも8回で3月末日とはほど遠い、2月27日で終了、続いて同じスタッフ の「〜風林火山」が5月1日スタート(3月〜は特番や野球中継で休止)で9月4日終了の全13回という悲しい回数。そして1年2時間特番枠「木スベ120 分」を無事に放送しましたが、後に53分の通常の連続バラエティ枠に変更しましたが、それまでとおなじような状況が続きました。しかし2000年4月から の「クイズミリオネア」でそれも解消されたようです。他にも特にフジテレビは97年から99年の改編が非常激しいものでした。改編しても、同じ枠で同じス タッフが手がけることは多かったものの、かなり荒っぽいと言えるでしょう。
 他には毎日放送制作枠(木曜20時→水曜19時)も関西と関東の笑いの差に苦しまれ、かなり危険な状況が連続しています。またテレビ朝日・テレビ東京が ともに月曜19時が不安定です。

2.年末年始の特番
 俗に「おせち番組」と呼ばれますが、これは通常のタイムテーブルを全く無視したような編成で、ニュース番組が短縮されたり、朝昼から豪華な番組をやった り、夜でも3時間超の特番が多く見られます。
 ここで通常番組の特番をいつもの曜日・ほぼ同じ時間で放送する番組は実力がある、といえるでしょう。
 例えば日本テレビの「SHOWbyショーバイ!!」も終了1年9ヶ月前には12月28日に2時間半の特番を放送しましたが、終了9ヶ月前で人気が下がり 気味になると、12月20日の2時間と小規模になったりしています。(あくまで一例なので、いくら放送終了が結果的には近くとも、こういう特番を放送する 番組もたまにあります。)

3.スポーツ中継
 ゴールデンタイムでは主にプロ野球のナイター中継(特に巨人戦)が猛威を振るわせています。
 日本テレビでは、ナイターは特番扱いではないのですが、それだけにシーズン中は休止が多い、多い。

下の表は日本テレビ1994年4月〜9月のプライムタイムの放送の有無を記したものです。
「B」は東京ドームからのナイター中継で休止、「b」はドームでない球場からのナイター中継(つまり、雨天で通常番組放送。)「J」はサッカーJリーグ中 継、「−」は他の特番での休止、「初」は新番組の第1回目、「完」は最終回、「S」はその番組の拡大スペシャル、を示します。また最も右の蘭はこの半年間 でのその番組の放送回数を示します。

 

日本テレビ休止表1994

                                                         
  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27  
  4.4 .11 .18 .25 5.2 .9 .16 .23 .30 6.6 .13 .20 .27 7.4 .11 .18 .25 8.1 .8 .15 .22 .29 9.5 .12 .19 .26  
19:00-                                                   24
19:30                                                     24
20:00   S                                                   24
21:00   S                                                   24
22:00                                                       24
                                                         
  4.5 .12 .19 .26 5.3 .10 .17 .24 .31 6.7 .14 .21 .28 7.5 .12 .19 .26 8.2 .9 .16 .23 .30 9.6 .13 .20 .27  
19:00   - -     B   B b B   B B B b     b B B B B B B   b 7
20:00   -       B                                         - 8
21:00   -                                                   25
                                                         
  4.6 .13 .20 .27 5.4 .11 .18 .25 6.1 .8 .15 .22 .29 7.6 .13 .20 .27 8.3 .10 .17 .24 .31 9.7 .14 .21 .28  
19:00   -     J B   B   B   B B B         B B B B B B   J   11
20   S     J B   B   B   B B B         B B B B B B   J   12
21   S                                                   26
22   -                                                
                                                         
  4.7 .14 .21 .28 5.5 .12 .19 .26 6.2 .9 .16 .23 .30 7.7 .14 .21 .28 8.4 .11 .18 .25 9.1 .8 .15 .22 .29  
19   -       B           B B                             23
20   S       B           B B                             24
21   -                                           25
22   -                                                   25
                                                         
4.1 .8 .15 .22 .29 5.6 .13 .20 .27 6.3 .10 .17 .24 7.1 .8 .15 .22 .29 8.5 .12 .19 .26 9.2 .9 .16 .23 .30  
19:00 -   B B B   B b B                   B       B     16
19:30                                                       16
20 - S初                                                 17
21 -                                                     26
                                                         
4.2 .9 .16 .23 .30 5.7 .14 .21 .28 6.4 .11 .18 .25 7.2 .9 .16 .23 .30 8.6 .13 .20 .27 9.3 .10 .17 .24    
19   B B B b B J B   B J B       B       B -   J B B     8
21 - B                               -           24
22 - -                                     -             24
                                                         
4.3 .10 .17 .24 5.1 .8 .15 .22 .29 6.5 .12 .19 .26 7.3 .10 .17 .24 .31 8.7 .14 .21 .28 9.4 .11 .18 .25    
19 - B B B B   B   B   B       B       B -     B B     13
20 S B B B   B   B   B   B       B       B -     B B     14
21 S B                                                   25
22:00 -                                                     25
                                                         

と言う訳なのですが、火曜19時(「なんだろう!?大情報」)はたったの7回(ちなみに後の95年4 月〜9月に火曜19時・20時台は全く通常番組【特番枠も】を編成しなかったことがあります)。
 また次いで土曜19/20時台(スーパースペシャル’94)はJリーグもあってか8回のみ。ただ、94年3月まで土曜20時台だった「マジカル頭脳パ ワー」が木曜に移動したのも土曜はナイターが多く、休止してしまうから、と言うことだったのですが、これは納得がいきます(「マジカル」は放送1年目の 91年4−9月はたった7回、翌年92年の4−9月もスペシャル2回込みで9回ととっても少ない)。
 また水曜日19/20時台もJリーグありで「どちら様も!!笑ってヨロシク」「SHOWbyショーバイ!!」と人気番組にも関わらず11/12回と少な い。(ちなみに8月と9月第1週はすべて休止しています。また99年のこの時間も8−10月にかけて何周も連続で休止したことも。)
 ただし、他の局でも視聴率が低かったりすると、ナイターを多く放送したりします。例としては、東京放送の水曜日(93−95年ごろ)の19/20時台 は、春の新番組が5月に始まったり(4月はほぼナイターかJリーグ)、フジテレビの1998年の火曜19/20時台の「アニメ・るろうに剣心」「家族そ ろってボキャブラ天国」は視聴率が不振していたとはいえ、野球で潰しすぎて、既に収録したものが通常時間で放送できずに終了してしまいました。

また、ゲームが放送時間内に終わらないと最大30分延長(フジは一時期60分)したり、オールスター 戦や日本シリーズでは延長無制限ですので、これで番組休止並に痛手をくらう番組も毎年ありました。最近では2000年の巨人優勝(リーグのと、日本一の2 回も。)のときちょうどどちらも日テレの放送で2〜3時間番組が繰り下げられたことも。またリーグ優勝を決めた9月30日日曜日はちょうどいつもの番組が いつもより1時間遅い予定だったのに、さらに2時間繰下でいつもより3時間遅く始まったのが印象的でした。

4.緊急報道特別番組
 これは、重大な事件、災害、等が起こったときに緊急的に予定していた差し替える番組です。
特に95/96年は多かったです。阪神大震災、オウム、など。「朝日新聞1995年5月24日」の記事によりますと‘4月1日から5月15日までのゴール デンタイムでオウム関連の番組を、フジテレビ12回、日本テレビ11回、テレビ朝日5回、東京放送・テレビ東京3回放送した’ということです(TBS、テ レ朝は通常報道番組内での特集を除く、とのこと。またテレ東はすべて「土曜スペシャル」での放送。)
 また1月17日(火)の阪神大震災で当日のプライムタイムは日テレ「火サス」、フジ「なるぼどザワールド」、テレ朝「ナンでもダービー」、NHK教育テ レビ以外はすべて休止されました。翌日、翌々日も数本が休止に。NHK総合テレビでは2週間近くタイムテーブルがくずれました。
 こういったものでお蔵入りになった番組も数々ありました・・・。まぁ、テレビの宿命と言ったところでしょうか。

 結局どう休止するかも局の色が現れて果ているように思われます。
大ざっぱにいえば、視聴率目的なのでしょうが、フジテレビが一番気性が荒く、日本テレビは特番は多いけれども安定はしているといえます。TBSは8月に通 常番組の2時間スペシャルを多く放送するのが特色でしょうか。テレ朝は、ニュースステーションがあるためか、大してめだちません。特に際だつのはテレビ東 京で、ここだけ普通に通常通りやっている、ということが多々あります。それぞれ、特番の組み方以外にも同じようなことが言えるような気がします。

 また最後の締めとして、余談ですが、今年木曜20時台の「週間ストーリーランド」は3月8日放送の 次の回が5月24日という記録もあります。全く週間になっていません。ちなみにその間は特番・ナイター/ちなみに19時台の「モー。たいへんでした」は4 月12日2時間で開始、2回目はこの5月24日と、新番組にしてはすごい仕打ち?を受けております。

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